11月(霜月)の上生菓子
①寒菊(かんぎく)
黄色と朱紅色きんとんソボロで、小倉餡を包み、葉とシベを付けて『菊花』を表しました。
★和菓子職人:石井光一
▼コメント
寒菊は、アブラギクから園芸化したもので、栽培種の先祖と言われています。
秋の菊が盛りを過ぎた頃から、蕾(つぼみ)が出始め、霜や雪にも強く、厳寒に開く潔さは、他の菊とは異なった趣があります。
寒菊をきんとんソボロを使い、表現しました。
②田舎柿(いなかがき)
柿餡包みの柿色雪平餅です。
ヘタを付けて、古里の『柿』を表しました。
★和菓子職人:石井光一
▼コメント
柿は、日本を代表するにふさわしい果実で、その種類は900にも及ぶと言われています。
柿は本来渋く、酒樽に入れて渋味を抜いたり、家などでは、米びつ入れて甘くしたそうです。
現在の甘い柿は改良品種で鎌倉時代の頃からと言われています。
故郷で甘く実った『田舎柿』を雪平餅を使い表しました。
③山茶花(さざんか)
薄紅色と白練切餡のボカシで、シベをつけて『山茶花』を表しました。
中餡は、黄味餡です。
★和菓子職人:石井光一
▼コメント
晩秋から冬の間に咲く花と言えば、誰もがご存知の花。
『山茶花(さざんか)』ではないでしょうか。
花の香りも良く、可愛らしく咲いていますね。
初冬から咲く数少ない花『山茶花』を練切餡を使い、巾着しぼりで可愛らしく表現しました。
④深山路(みやまじ)
黄色・朱紅色・緑色の三色の練切餡で、小豆皮むき餡の包み、山の形に型取り『晩秋の山路』を表しました。
★和菓子職人:石井光一
▼コメント
最近の紅葉は温暖化の影響かと思われますが遅くなってきているように感じますね。
季節は初冬なのですが、まだまだ紅葉を楽しむことが出来、山奥の深山と呼ばれる場所などでは、紅葉真っ盛りではないでしょうか。
空気が澄んでいて深山の路を歩きたくなる『深山路』を練切餡を使い『山の型』に整えて表現しました。
⑤落葉焚き(おちばたき)
小豆皮むき餡包みの薯蕷(じょうよ)饅頭です。
周りを焼いて、黄色と朱紅色のソボロと落葉をのせて、心温まる『焚き火』を表しました。
★和菓子職人:石井光一
▼コメント
以前、焚き火は自宅の庭・神社の境内などで、落葉や枯れ木の焼却処分を目的に行っていましたね。
単に燃やすだけではもったいないと考え、さつま芋などを焼いて食べるという楽しい文化がありました。
晩秋から冬にかけての風物詩でしたね。
そんな風情ある落葉焚きを薯蕷(じょうよ)饅頭を使い、ソボロで『火』を表して『落葉』をのせて表現しました。
和菓子職人が丹精込めておつくりいたしました上生菓子でございます。
お茶の席等に是非、お使い下さいませ。
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